2013年4月9日火曜日

メンバーが語る学習室 新田あゆみさん



 


 写真:大学卒業のときに学習室メンバーから貰った色紙とリスマス会で子どもが作ってくれた名札


―自己紹介をお願いします。
新田あゆみと申します。この4月から社会人2年生です。発足時から、細くではありますが永く携わらせて頂いています。実はイベント係創設者だったりします。


―学習室はどのようにして知ったのですか?
20113月、震災直後に先輩メンバー林さんに『教科書とかノートとか、持ってない?』と聞かれたことがきっかけです。何のことだろうと話を聞いてみたところ、避難所で学習室を作ろうとしている、そのためにまずはその教材を探している、とのこと。早速自宅にあった教材や文房具をお送りし、同時にここで末永く活動していこうと決めました。


―この学習室で活動しようと思った理由は何ですか?
何かをしたいという気持ち、なじみのある場所、誘ってくれた林さんへの信頼といったあたりが決め手かもしれません。
(※なじみのある場所……小学生のころ武蔵小杉近辺に住んでいた私にとって、等々力アリーナや競技場は身近な場所でした。父や弟と遊びに行ったり、かながわ国体を見に行ったり。そんな小さなころの思い出の場所が、避難所になっている…その事実を知って、立ち上がるほか選択肢はありませんでした。その後、学習室の移転先となった『小杉こども文化センター』(=通称こぶん)も小学生のころよく遊びに来た思い出の場所です)


―学習室の好きなところはどんなところですか?
沢山ありますが、特にこの学習室が『優しさ』と『自発性』によって創られている、というところが一番好きです。
1.『優しさ』
場所を提供してくれる方、協力して下さる方、参加する大学生だけでなく、集まってくる子どもたちも思いやりのある子ばかりです。そんな優しさによって、この学習室は存続しています。
2.『自発性』
学習室に関わるすべてのひとは、自発的に集まっています。主体となって活動しているひとたちが『一方的に提供する』というものではなく、『力になりたい』『行ってみたい』『勉強したい』『話したい』…抱いている気持ちやきっかけは様々ですが、活動者も子供たちもみんなみんな、自分の頭で考えて、自分の足で学習室に来て、この空間を創り上げているのです。


―学習室において心掛けていることや、こういうふうにしている!というものはありますか?
前述したように、学習室は子どもたちも含めて『みんなで創り上げていく空間』だと思っています。また、私は勉強の根底には『考えること』があり、そしてそれは日々を過ごすにあたってもとても大切なことだと考えています。
そこで、この学習室は『学習』がコンセプトであっても、単なる勉強の場所としてではなく『一緒に』考える場、『自ら』考えることのできる場としての空間でありたい、そんな心がけをもっていつも活動しています。

『このお城はどうしてできたの?』『フレミングの法則って変な名前じゃない?』『なんで物の単位がいっぱいあるの?』『なんでこんなペンを持ってるの?』『なんでノートはきれいに書かないといけないの?』……どうしてかな?私はいつもそう答えます。私は、こう思っているけど〇〇くんは、〇〇ちゃんはどう思う?
子どもたちは勉強に直接かかわりのないような疑問を持ち込むこともあります。『僕は小さい子が好きだから、将来保育の仕事とか向いてるかなぁ』『やっぱり字がきれいなほうがよくない?』……そうね、いいかもしれないね、でもなんでそう思うのかな?

問いかけてみると、子どもたちは既に色々と考えてその疑問を持っていることがわかります。しかしながら、『こう考えているから、自分はこれを不思議に思ったんだ』ということを自覚していないことも多かったりします。そこを気づかせてあげれば、どんどん自分で進んでいく場合がほとんどです。
だから私は、子どもが考え始めたら、勉強のことに直結しなくても、一緒に考える、あるいはしばらく静かにして様子を見るようにしています。(私が担当すると、なかなか勉強が進まないのはこのせいです)

無限の可能性を有した子どもたちが、『どうして?』をきっかけに、学習室内外で大きく羽ばたいてくれたなら、私たちにとっても非常に嬉しく幸せなことです。そのきっかけとしての扉を開くお手伝いをするつもりで、普段の学習室で私は過ごしています。


―毎回の学習室で必ずすることはありますか?
『ありがとうございました』を全員で言って終わります。きちんと姿勢を正して、小学生から大学生、オーバーエイジ枠(笑)の私たちまで全員が声を出して言うのです。適当に口に出しているだけのひともいるかもしれませんが、私はこの瞬間が大好きです。勉強を教えてくれてありがとう、説明をきちんと聞いてくれてありがとう、ここに来てくれてありがとう、元気でいてくれてありがとう。


―学習室を通して学んだことは?
学習室を通して学んだこと…とは少し違うかもしれませんが、学習室に参加して、考え続けていることを挙げます。ひとつめ、人間はひとりひとり違うということ。ふたつめ、私はまだ何もわからないな、ということ。このふたつです。

1.みんな、違う
ひとくくりに震災といっても、学習といっても、そこから感じたことや受けた影響、感情の行先、行動、考え方や取り組み方は十人十色です。当たり前のことかもしれませんが、それを強く強く感じるのです。
2.わからない
支援ってどんなこと、絆ってどんなもの、強いとか弱いってどう違うの、義務って何、逃げるって何、優しさって何、幸せって何???わかりません。どんどんわからなくなっています。そもそもこういうことや震災のことに関して私が軽々しく『わかる』と言っていいものではない、と強く感じることも多く、無力感に苛まれます。


―「支援」に対してどんなことを考えていますか?
『してあげる』ものではなく『する』ものです。
そして……何らかの支援を求めているひとたちに対して、簡単に、わかるなんて言えないものです。実際に経験したり、その中にいるひとでないとわからない。でも、わかろうとすることは自分次第で出来るのです。きちんと自覚をもって、まずは求められたことに応じる。一緒に考える、悩む、わかろうとする。それが、『支援』への一歩なのだろう、そんなことを思っています。


―これからの学習室に関わっていくにあたって、こんな姿勢で臨みたいとか意気込みなどありましたら教えてください。
そうですね……まだまだ未熟な私にとっては、世の中わからないことだらけです。頑張っても、報われないことがあります。努力しても、誰かがそれを持って行ってしまうこともあります。いい子にしていても、失ったものが返ってくるわけでもありません。やりきれない気持ちだけを抱えて途方にくれるばかりです。
だから、諦める?いいえ私は、頑張ろう、と思います。頑張っていたら、その先に何かが待っているかもしれません。前の記事で吉田愛美さんも書いている『がんばり過ぎない』スタンスで、この学習室で永く永くお手伝いをしていきたいです。

書き始めたらまとまらず、こんなに長くなってしまいましたが、このブログに来て下さって、読んで下さって『ありがとうございました』

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